眠そうにしながら浅黄さんが呆れた顔をする。

「浅黄さんって、どっちが裏でどっちが表なんですか?」
「何の話だ」
「柔らかく笑ってる方と、全然笑ってない方と」

きょとんとした表情。わたしは自分の手の中でミネラルウォーターを揺らした。

いや、こんなことを聞きたかったのではない。

「浅黄さんって、なんで自分で洗濯しないんですか?」
「洗濯のやり方が分からないのと時間がない」
「浅黄さんって、ご飯ちゃんと食べてるんですか?」
「時間があるときに」
「浅黄さんって、恋人いるの?」

勢いに任せて尋ねる。開いたパンドラの箱からポンポンと飛び出してきたそれ。