「飲みすぎるなって言っただろ」
「そんなに飲んでは……」
「じゃあここに帰ってきたのは帰巣本能が働いたのか?」
尋ねられて、黙る。図星かと問われれば、図星のような気もして、何も言えない。
「……知ってたんですか?」
「何を」
「この部屋、解約してなかったこと」
わたしが一人暮らしをしていた部屋。
浅黄さんの家に引っ越した後も家賃を払っていた。ベッドや少しの荷物が残っている。
洗濯機もここにある。わたしは週に数回ここにかえって、洗濯をしていた。
「知ってた」
何でもないことのように、浅黄さんは言った。



