生簀の恋は青い空を知っているか。


確かに、飛ぶ。だからと言って変な場所で眠っていたり、知らない男と朝を迎えていることはなかった。

「私と理美とで飲みに行くときは帰りの心配ができるけれど、これから先ずっとそうできるわけじゃないでしょう?」
「そう、だね」
「浅黄さんは、良い人だから」

鼎が確かめるように言った。
いや、確かめるまでもない。わたしより鼎の方が長い付き合いだ。
今日のパーティーに出席することすら、わたしは知らなかったのだから。

「うん」

さっきから、心の中でモヤモヤしていた何かが一瞬にして箱の中に吸い込まれた。

もしかしてこの箱、パンドラって名前じゃないよね。