富山さんが朗らかに笑っている。
「あいつ、表と裏あるから」
「どっちが表で、どっちが裏なのか……」
「松葉さんはどっちだと思う?」
質問を投げられて、考える。浅黄さんの表と裏。
どちらにしても、わたしは営業スマイルの方を向けられたことがない。
思えば、最初に会ったときから、だ。
答えるより先に富山さんは事務所の人に呼ばれて行ってしまった。
……夢のような時間だった。
理美たちの方に視線を戻すと、すごくニヤニヤしていた。
「ナマ浅黄さん見ちゃった」
ふふふ、と謎の笑みを浮かべてきーくんと何かをこそこそ話している。



