自分の近しい人が、自分の憧れる俳優と喋っている。そこに自分も混ざっている。

「どういうご関係なんですか?」
「俺と浅黄? 大学一緒だったんだよ」

それはさぞキラキラした大学だったのでしょう。

最中社長の一人息子と、廃ることを知らない俳優。
一緒にいたら、きっと歩けば道ができたのだろう。

「それにしても浅黄が結婚とは。あの飲み会に顔を出しては女性全員を掻っ攫っていってた浅黄が」
「うっせえ」

げし、と長い脚で浅黄さんが富山さんを蹴る。

「ちょ、どうするんですか痕が残ったら」
「は?」
「富山さんは俳優なんですからね?」