ファンがCDを何枚買ってでも握手をしたい気持ちがよく分かる。
「これから先、手洗いません……」
そう決める気持ちも。
「今すぐ洗ってこい」
聞き慣れた声に顔を上げる。ネクタイを緩めた浅黄さんが呆れた顔をして立っていた。
先程までの笑顔はどこへやら。
「お前はどうしてそういうことを平気で言うかな」
富山さんが肩を竦める。二人で来るくらいなのだから、知り合い以上だとは思ったけれど。
「嫁だって知りながら近付く人間に言われたくない」
「ああ、この子がお前の?」
富山さんの視線がこちらに向いた。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…