そういう関係性を大事にする人なのだ、と初めて知った。
「あー行かなきゃ……また戻るね」
入り口の方へ完璧な笑顔を見せながら手を振る鼎の声は暗い。
「行ってらっしゃい」
きーくんが優しく言う。
行ってしまった鼎の背中を三人で見送り、壁に寄って近況を話した。
「バイトして、欲しいものあるの?」
「来年は就活するので……できる内に」
「あるに越したことはないからね」
わたしが言うと、きーくんは困ったように笑った。あ、知らぬ間に自虐エピソードになってしまった。
そんなことには構わず、理美が持ってたグラスを掲げる。



