可愛いな、と思う。恋人同士ってきっとこんな感じなんだ。

「来てくれてありがと」

わたしと理美が横に並ぶ後ろからぎゅっと抱き締められた。鼎だ。

「誕生日おめでとー」
「誕生日おめでと!」
「おめでとう」

三人で口々に言う。わたし達の間をすり抜けて、きーくんの隣に並んだ。少し曲がったネクタイを自然に直す。

「もう疲れちゃった。四人で抜け出して飲みに行きましょうよ」
「こらこら主催」
「親しい人に挨拶できればそれで満足だもの」

理美が苦笑する。わたしも同じ顔をしていたと思う。