そう尋ねられて、会話が伸びた。

「好き、ですね。この人、演技がうまいので」

言ってから、テレビへと視線を戻す。
ここから会話を広げるチャンスなのでは、と思って口を開いた。

「浅黄さんは好きな女優さんとかいるんですか?」
「……きみ」

え、と横を向いた。浅黄さんは絶対に期待を裏切らない。

……器用に眠っていた。

わたし、女優じゃないんですけど……。というツッコミは宙に浮いたまま、その横顔を見る。

「浅黄さん、首痛くなりますよ」

肩を叩く。はっと目を覚まして、腕時計を見た。
この人って寝起きがいつも忙しない気がする。