【短】センパイ、センパイ、センパイ。






――しゃれた ろまんちかに なれないけど

――へたくそでも あかくなろうぜ




あ。



一時間目終了のチャイムと同時に、我に返った。


しまった!
授業の最後のほう、ほとんど聞いてなかった。

ちょっと集中力が切れたから、ラブレターにどんなこと書こうか考えてたらつい……。


しかも無意識に、ルーズリーフの切れ端に歌詞まで……!



セブンチャイルドのオリジナル曲は、ストレートだったり深い意味があったり、可愛かったりかっこよかったり、一曲ごとにカラーが違っていてどんどんハマっていく。


私のお気に入りの『なりそこないロマンチカ』は、じれったい想いや切なさを歌っているのに、それらを吹き飛ばすみたいに優しくて明るい曲。


聴けば聴くほど好きになる。



……なんてうっとりしてる場合じゃない!

次の授業、移動教室だった!



「和香ー?」


「早くしないと遅刻しちゃうよ!?」


「ご、ご、ごめん!今行く!!」



友達がずっと声をかけてくれてた(らしい)のに、ちっとも聞こえなかった。


どんだけセブンチャイルドが好きなんだ、私。
ことはセンパイに恋しすぎだよ、私。



慌てて教科書とノートを持って、教室を出て行った。