【短】センパイ、センパイ、センパイ。




「やっぱことははモテるなー!セブンチャイルドの顔なだけある!」


「拓麻はモテねぇよな」


「い、いいんだよ俺は!モテなくても!なんせ俺には超絶可愛い最高な彼女が……」


「ハイハイソウデスネ」


「おい!最後まで聞け!」



二ヒヒといたずらっ子みたいにからかうことはセンパイに、キュンとした。


うぅ……そういうところも素敵ぃ……。



このあふれんばかりの「好き」を伝えたい。



ラブレターだってファンレターだって、どっちでもいい。


どんな形でもかまわないから、せめて、届いてほしい。


なかったことだけにはしたくない。

この恋の存在を忘れたくもない。


初恋は実らない。

どこかの誰かの言葉どおり、初めての恋くらい、伝えてから後悔したい。


こう思えるくらいには、恋する乙女なりに進歩してる気がする。



「手紙、書いてみようかな」



このくらいの努力、できなくてどうする私!

よしっ!


チラッとことはセンパイをみてから、一人ガッツポーズをして意気込む。





「でも俺、手紙って苦手なんだよな」


「あー……まあ、そう、だな。直接いってくれた方が嬉しいよな!」



そんな会話をしてたことなんか知る由もなく、静かにその場から立ち去った。





タン、タタン。
タン、タタ、タン。


ストーカー級で好きなセブンチャイルドの曲想に合わせて、無意識に足がリズムを刻む。



教室までの道のりが、やけに近く感じた。


雨の憂鬱さなんて、あっけなく溶けてしまうんだ。