【短】センパイ、センパイ、センパイ。



バカ。私のバカ!



好きな人相手に緊張してるとか、自分に自信がないとか……もはやそういうレベルじゃない。


物心ついた時から、恥ずかしがり屋で引っ込み思案だった。


あんまり表に出たがらないタイプ。


それが深く深く根付いちゃって、今でも変わらずこんな感じ。



こんなんじゃ恋を叶えられるわけがない。


それどころか「センパイ」って呼ぶことさえ……。



「そういえば、ことはまたラブレターもらったんだって?」


「ああ……まあ……。つってもファンレターみたいなもんだろ」



ら、ら、ラブレター!?


すごい。やっぱりことはセンパイってモテるんだなぁ。



……ってそうじゃなくて。


なるほど、そうか。
その手があったか!


ラブレターなら、実際に会ったり話さなくても、この気持ちを伝えられる!


いや、本当はことはセンパイと対面して、名前を覚えてもらったり直接おしゃべりして仲良くなったりしたいけど……。


変わりたい。

そうなるよう頑張りたい。


でも。

「私には……」


ことはセンパイを見てるだけで、心臓がバクバク圧迫されて。


顔中、真っ赤っかになってしまう。


熱くて、苦しくて、もどかしくて。

きっと今の私は、ひどくみっともない。


お世辞にも可愛くないし、綺麗でもない。
こんな姿、見られたくない。

嫌われたくない。


どうしてこんなふうになっちゃうのかな。


元々あがり症かつ赤面症だったけど、ここまでひどくなかったのに。



これが恋の副作用なの?