「だから、ごめんな」
謝らないでください。
ことはセンパイはいつだって“言葉”を“声”にしてくれていた。
“歌”に乗せて伝えてくれていた。
私は、そんなことはセンパイに惹かれたのに。
“言葉”ばかりに囚われて、ひとつも“声”にしなかった。
ことはセンパイの“声”が私に響いたように、私の“言葉”も届いてほしかった。
それが一番、大切だった。
――しゃれた ろまんちかに なれないけど
――へたくそでも あかくなろうぜ
そう、歌ってくれた。
私はいつだって怖がってばかりで、まだ何も……何ひとつ“声”にしていない。
このくしゃっと曲がった手紙のように、見た目の悪い下手っぴな告白になったとしても。
このトワイライトブルーが好きだって、言わなくちゃ。
伝えなくちゃ。
言の葉を、その色に染めながら。
「じゃ、じゃあ……き、聞いて、くれますか?」
「え?」
「私の、気持ち」



