廊下に反響するギターの音は、どこまでも透き通っていて。


もっと泣きたくなる。


ねぇ、ことはセンパイ。

優しくなんかしないで。


もしも、本当に、ロマンチカになりそこなってもいいなら。


それならば、この想いを受け取って。

受け取るだけでいいから。


それ以外の優しさは、要らないから。



「こ、ことはセンパイ……!」



ほとんど本能のままに、カバンから手紙を取り出した。


勇気とか、期待とか。

そんなもの、とっくに消え失せてしまったけれど。


この想いだけは、どうにもならない。


むしろ、あふれるばかりで、止められない。


どうか、どうか……!
今度こそ。



「これ……!」



――へたくそでも あかくなろうぜ。


私も、なりたいの。

この恋を、下手なりに赤く、赤く。



「これって、もしかして今朝の……」



気づかれた。
気づいてくれた。

それだけで心臓はドクンドクンと破裂して、引きちぎれてしまいそう。


手紙を持つ手が、これまでにないほど震えてる。