【短】センパイ、センパイ、センパイ。





「俺、」


ドキッ。

ことはセンパイの美声に鼓動が荒ぶる。



「手紙は受け取らないことにした」



パンクしかけてた脳内が、一気に空っぽになる。


さっきとは別の意味で、心臓が止まりそう。


……え。
どういうこと?


雨音が急にクリアになって、襲いかかってきた。



「返事出せないし、出せたとしても遅くなっちまうし」



待って。

頭が追いつかない。

ねぇ。
ことはセンパイ。

どうして。



「不安にさせながら待たせるくらいなら、受け取らないのが一番いいと思って」



遅くなってもいいんです。

いくらでも待ってます。


だから、どうか。

せめて受け取って。



「……そっ、か」


「お前がそう思うならそうすればいいんじゃないか?」


「じゃあファンレターは全部俺にくれるよう言っとくか!」