紅葉色の恋に射抜かれて

「その言葉は取り消せないけど……そのぶん、私はこれから弓道で誠実さを示してい こうと思ってる。だから、みんなも一緒に頑張ろうよ」


それに彼女たちは泣き笑いを浮かべて、「うんっ」と頷いてくれたのだった。




部活が終わったあとも、私は夕日に照らされた弓道場に残って弓を引いていた。 すると、「六実」と名前を呼ばれて、私は振り返る。


「休 きゅう 憩 けい しないか。根を詰めすぎだ」


缶ジュースを手にした葉山先輩が射場にあぐらをかいて、隣に来いと床を叩く。

言われたとおりにそこに正座すると、葉山先輩が私にふたつあるうちのひとつの缶ジュースを差し出してきた。


「俺のイチオシだ」

「すみません、ありがとうございます」


ぺこっと頭を下げて缶ジュースを受け取りながら、ラベルを確認した私は眉間にしわを寄せる。


「……抹茶ゼリージュース?」


なにこれ、苦いの? 甘いの?

そもそもゼリーって、ジュースとして飲めるの?


抹茶をゼリーにした飲み物、というのが想像できず、得体の知れないものを目の当たりにしたような気分でいると、シュポッとプルタブが開く音がする。

隣を見ると、葉山先輩は液体を飲む勢いで口の中にゼリーを流し込んでいた。


「うわー、おいしい、ですか?」


ついそう尋ねると、葉山先輩はちらっと横目で私を見る。