「こんな私を知ったら、葉山先輩は気が緩んでるって怒るんだろうな……」
オンとオフがはっきりしてる人だし、恋愛と弓道は別物だって考えてそう。
そんな想像をして苦笑いしていると、後ろからヒソヒソ話が聞こえてきた。
気になって振り返ると、同級生の女子部員が私をちらちら見ながら口端を吊り上げる。
「うちらはまだ筋トレとゴム弓だけなのに、六実さんは弓を引かせてもらえていいよ ねー。先輩の大会の出場枠まで奪って、理解できないわ」
「わざわざ外で練習してるうちらに見せつけるように巻藁練習するとか、感じ悪っ」
わざとだ……。わざと、私に聞こえるように話してるんだ。
悔しいけど言い返すのが怖かった私は、ぐっと拳を握りしめてうつむく。
するとそこへ、低くどっしりとした声が飛んでくる。
「差があるのは、当然だろう」
「え……?」
顔を上げると、弓を引く際に着用する『ゆがけ』を右手につけたまま、葉山先輩が私を庇うように前に立った。
オンとオフがはっきりしてる人だし、恋愛と弓道は別物だって考えてそう。
そんな想像をして苦笑いしていると、後ろからヒソヒソ話が聞こえてきた。
気になって振り返ると、同級生の女子部員が私をちらちら見ながら口端を吊り上げる。
「うちらはまだ筋トレとゴム弓だけなのに、六実さんは弓を引かせてもらえていいよ ねー。先輩の大会の出場枠まで奪って、理解できないわ」
「わざわざ外で練習してるうちらに見せつけるように巻藁練習するとか、感じ悪っ」
わざとだ……。わざと、私に聞こえるように話してるんだ。
悔しいけど言い返すのが怖かった私は、ぐっと拳を握りしめてうつむく。
するとそこへ、低くどっしりとした声が飛んでくる。
「差があるのは、当然だろう」
「え……?」
顔を上げると、弓を引く際に着用する『ゆがけ』を右手につけたまま、葉山先輩が私を庇うように前に立った。


