授業中はきつい。


『 隣同士で⚫⚫ページ読みあってください』


とか、


『 隣同士で答え合わせして〜』


とか、


『 隣の人と話し合ってみてください!』


とか、



ほんとに勘弁してくれって思う。


だって成瀬くんと話さなきゃいけないじゃん。


成瀬くんのこと、考えたくないのに、見たらどうしても考えてしまう。


話したらどうしても楽しいって思っちゃう。


もっともっと話したいって、欲が出ちゃう。


嫌いでいるって決めてるのに。


自分の決心がゆるぎそうで嫌だ。


そして、自分の意思が弱すぎることを痛感して嫌だ。


ほんと、早く席替えして…


そんなゆれうごく思いと戦いながら授業を受けた。


そして、ようやく迎えた昼休み。


あぁ、ようやく安らげる…と思っていたのに。


梨花が、待ってましたとばかりに私のところに来て、


「ほら行くよ〜」


と言って私を教室から連れ出した。


「梨花ぁ、私、ゆっくり食べたいよ〜」


「ゆっくり食べれるでしょ。話しながら。」


「話してたらゆっくり食べれないよ〜」


「いいから。」


「今度休みの日に話そうよ〜今日は教室でゆっくり食べよ?」


そんな私の提案は受け入れられることはなく、ずるずると空き教室に引きずり込まれた。