成瀬くんとのくだらない掛け合いが楽しくて。


もっともっと…この時間が続けばいいと思った。


｢ねえ瀬戸川ちゃん、数学のテストどこ出るの〜？｣


｢えっ、知らないの？テスト今日だよ、大丈夫？｣


｢んー、ダメかも〜教えて笑｣


｢やだ。自分でやって。｣


｢ええぇ。｣


だけど、人生は思い通りには進まないようで、


｢いーつきぃ！！おーはよっ！｣


いつも樹の周りにいる女子のうちの1人が来てしまって、成瀬くんとの会話は終わってしまった。


｢樹は今日もかっこいいねぇ〜♪帰り一緒にカラオケ行こっ！｣


なんて言って成瀬くんにベタベタするその女の子。


だから嫌なんだ。


こーゆー女の子達とは、一緒にして欲しくない。


勝手に人に恋の定義を押し付けるのはどうかと自分でも分かっているけれど、


少なくとも私の恋は、こんなに軽々しいものじゃない。…いや、なかった。


その人の性格も関係しているのかもしれないけれど、簡単に触れることなんてできなかった。


話しかけることさえ、怖かった。