「岩永さん、頭固すぎ」

「だって」


 人の気持ちなんて分からないし。何時気が変わるかだって分からない。
自分の気持ちに気付くことさえ、高木君よりも遅かった位なのだから。先を予想し考えることは、私自身の保険みたいなものだから。


「確かに。岩永さんが俺に好意を抱き始めたと気づいたのも、実は最近だったんだ。最初の頃に比べたら、岩永さんの口調も柔らかくなったし。俺を贔屓し出したのが分かったから」

「贔屓? そんなことしたことないよ?」


 速攻で否定したけれど、高木君曰く。他の同期達に比べたら、高木君にだけは随分甘かったらしい。
 自分では他の子と差をつけていたつもりは無かったけれど、高木君たち同期の中では、そう見えていて。ちょっとした噂になっていたと教えられた。


「ちゃんと否定してくれたんでしょ? したんだよね?」


 後輩たちから噂話のネタにされていたこと自体が初耳だった私は、高木君に確認したけれど。
 高木君は何やら含み笑いをして首を振ると「周りに贔屓されていると分かるくらいだから、絶対に俺の存在が岩永さんの中で大きくなっているに違いない! と感じたんだ」と、笑っていた。