「少し寝たら? 後は俺がやっておくから」


 ベッドに運ばれ、しっかり寝かされてしまった。サイドボードには高木君が買ってきてくれたペットボトルが置かれ。
「パソコンと資料借りるね」と、私のバッグの中からパソコンと仕事の資料を取り出し、ソファとローテーブルの間に腰を下ろした。


 高木君が私の部屋に居る。
聞きたいことは沢山あるのに。声をかけるよりも、今は高木君の背中を眺めていたいと思ってしまうなんて。


 ベッドの中から高木君の背中を眺めたまま、何時しか眠ってしまったようだ。
 目が覚めた時。仕事をしていたはずの高木君は、私の右手を握りベッドの脇で、うたた寝している姿が目に留まる。

 そっと起き上がり、近くにあったタオルケットを眠る高木君の背中に掛けた。


 開いたままのパソコン画面に目を向けると、今日の業務報告書は完成していて。新たな契約店舗まで増えているではないか。


「もしかして、あの後。独りで新店舗契約の開拓に外回りしてたの?」


 直帰しようとしていたくせに、しっかり仕事をして。私のことを気にかけて家まで来てくれたの?

 違う。元々直帰しようとしたのは、私のため……だ。