もう何も言えない。高木君が話してくれたことの殆どが合っている。
しかも、出来るだけ周囲に気付かれないように、と隠してきた私自身のことだから。


「……どうして直帰せずに、この喫茶店に入ったのか。聞いてもいい?」

「もう少し一緒に居たかったから」


 ストレートな答えに、胸が苦しくなり顔が熱くなるのを感じた。
私を好きだと言ってくれた高木君の気持ちが、真っすぐに私に向けられているから。
 これ以上、誤魔化すことも嘘をつくことも出来なくなりそうだと思った。


「この先、もし俺が出世して岩永さんより立場が上になったら。その時は、絶対に先輩だから後輩だから、なんて言わせないからな」


 歳の差は縮められないけど、距離と気持ちは幾らでも縮められる。
仕事では、すぐに私を超えて見せる!と言い切った高木君は、真っすぐに私を見つめていた。


「お待たせしました」


 アイスミントティーとアイスコーヒーが運ばれてきて。テーブルには、二つのグラスが仲良く並んで置かれた。
 透き通るようなアイスティーに、ちょこんと浮かんでいるミントの葉。ストローでアイスティーをかき混ぜると、一旦沈んだミントの葉は、ふわふわと浮かび上がって来る。