「岩永さん、俺のこと嫌いですか?」

「はい? 突然なんなのよ」

「だって、さっき告白したのに返事してくれるどころか、華麗にスルーされたし。しかも、今は完全に無かったことにされてる」


 「はぁぁぁ」と、ため息をついた高木君は、腕を組んだままテーブルに突っ伏し。チラッと視線だけを私に向けてきた。


 ちょっと。そんな風に上目遣いで見ないでほしいな。これ以上、私の心を乱さないでいただきたいんですけど。


 心では思っているのに、どうしてだろう。今の私、そのまま口に出して言えなくなっている。
 高木君から向けられている視線に、もれなくドキドキしている私が居て。何処を見たらいいのか分からない。


「高木君は、私のこと何も知らないじゃない。私のこと、よく知りもしないで、簡単に好きとか言うものじゃないわよ」


 私の何を知っているというのだ。
 朝、社に出勤してから帰るまでの業務中の私しか知らないでしょ。って、私も同じか。高木君のこと、何にも知らない。
 一緒に仕事をしている中での高木君しか知らないのは、私も同じ。
なのに、いつのまにか高木君のことを好きになってしまっていたことに気付いて。独りで勝手に動揺して……。