その日の昼。私が外に出ると、1人の黒髪の女の子が家の前に倒れていた。私はその子を保護し、義昭に頼んで天くんを呼んでもらう。

そして、その子を部屋に運んで私の布団に寝かせる。女の子はピンクの着物を着ていた。

私がしばらく女の子の様子を見ていると、女の子はゆっくりと目を開く。私は「あ、気が付いた?」と微笑んだ。女の子は私に赤い目を向ける。

「……紫(ゆかり)、大丈夫ですか?」

「お兄ちゃん…?」

天くんは女の子に近づいた。女の子は飛び起きて天くんを見つめた。

「あ、紹介します!この子は僕の妹の紫です!」

天くんがそう言うと、紫ちゃんの姿は煙に包まれた。煙が晴れると、紫ちゃんは獣耳と黒い尻尾が生えている。

「紫です!空腹に耐えきれなくて倒れました…」

紫ちゃんは地面に倒れ込みながら言った。私は余りもののご飯を「これ、残り物だけど…」と言って渡した。紫ちゃんはそれをかき込んで食べる。

「……義昭、紫ちゃんもこの家に住まわせてあげて」