独占溺愛~クールな社長に求愛されています~

 蓮斗は苦笑しながら、メニューをパラパラとめくっている。

「もしかして……甘いものは苦手だった?」

 詩穂は自分のリクエストを訊いてもらったのに、蓮斗にはなにも尋ねなかったことを思い出した。

「いいや。来る前に近所の店で定食を食ってきたから」
「そっか……お腹減ってないんだ。ごめんね」
「なんで謝るんだよ。小牧は気にせず、好きなだけ食べたらいい」
「ありがとう」

 素直に礼を言って、詩穂はやってきた店員に注文を伝えた。蓮斗はブレンドコーヒーを注文し、店員が去ってからつぶやく。

「カップルばっかりだな」

 言われて店内を見回すと、女性グループもちらほらあったが、大半がカップルだった。

「まあ土曜日だからね」
「俺たちも恋人同士に見えるかな?」

 蓮斗に問われて、詩穂は瞬きをする。

「えー……まあパッと見はそうかもしれないね。でも、会話を聞いたら恋人同士じゃないってすぐにわかるんじゃない? ぜんぜんロマンチックじゃないもん」
「こうやったらカップルに見えるんじゃないか」

 蓮斗が言って右手を伸ばし、詩穂がテーブルの上に置いていた左手に重ねた。

「なっ」

 驚いて引っ込めようとした詩穂の手を、蓮斗がギュッと握る。