着替えてメイクをしようとして、はたと手が止まる。

「この顔をなんとかしなければ!」

 インターネットで検索して、顔のむくみを取るマッサージの仕方を紹介しているページを見つけた。それに倣って、顔に乳液をたっぷりと塗り、説明通りにマッサージを続ける。そのうちに徐々にむくみが落ち着いてきた。

「よかった。これで須藤くんにからかわれなくてすむ」

 安堵しながらメイクをして、時計を見た。

 まだ十二時半にもなっていない。

 テレビをつけたが、おもしろい番組はない。メッセージが届いてないかとスマホをいじったり、時計を見たりする。

 ふと自分がそわそわしていることに気づいて、詩穂はスマホをベッドに放り出し、ごろんと横になった。

(私ってばなにやってんの)

 これじゃあ、蓮斗と会うのをものすごく楽しみにしているみたいだ。しかし、彼は詩穂が落ち込んでいないか心配して誘ってくれただけなのだ。蓮斗はときどきカチンと来ることを言うが、実際は結構優しい男なのだと最近知った。

 時間つぶしにスマホでネットニュースを見ていると、やがてインターホンが鳴った。

(須藤くんだ!)

 詩穂はガバッと起き上がり、インターホンの受話器を取る。

「はい」
『須藤だ』