好きだという気持ちとダメだという気持ちが、心の中でせめぎ合う。嫌なのに逃れられない。それは政略結婚を余儀なくされた弘哉と同じかもしれない。

 詩穂が目をギュッとつぶると、目尻から涙がこぼれた……。