詩穂はベッドに座って膝を抱え、ソファで眠る彼の姿を眺める。横向きでアームレストに頭を乗せ、体を丸めて寝ているのが窮屈そうだ。

「須藤くんの寝顔って……意外とかわいい」

 くっきりした二重の目がキリッとした印象なのだが、こうして目を閉じていたら、あどけなく見える。イケメンで、勝ち組で……酔って吐いた詩穂を心配して、寝ずに見守っていてくれるような優しい男なのに、例のインターンは蓮斗を裏切ったのだ。どうしてそんなことができるのか、詩穂には不思議でならなかった。



 結局、蓮斗が目を覚ましたのは十一時になってからだった。

「起こしてくれたらよかったのに」

 蓮斗はソファに座り直し、大きく伸びをしながら言った。

「あんまり気持ちよさそうだったから、起こすのが忍びなくて」
「眠かったのは確かだから、少し楽になったよ。悪かったな」
「いいよ。謝らないで。それより、ブランチ食べる?」
「え、小牧が作ったの?」

 蓮斗が目を丸くして詩穂を見た。

「そうだよ」
「それ……食えるのか?」