そのうち会社のことを考えた。

 あんなことがあったからといって、いきなり月曜日から欠勤するのはほかの社員に迷惑をかけることになる。責任のほとんどは、ジェニファーがいない寂しさを埋め合わせるために、詩穂を利用した蓮斗にあるのだ。一言文句を言って、美沙に言われた通り、二、三発パンチをお見舞いしてもいいはずだ。それから、退職の話をしよう。

 詩穂は決心を固め、いったん蓮斗のマンションに戻ることにした。けれど、闇雲に歩いたせいで、ここがどこなのかわからない。歩き回ってようやく大通りにたどり着き、タクシーを拾った。