翌朝、目を覚ましたときには部屋はすっかり明るくなっていた。目の前に蓮斗の裸の胸があって、規則的に上下している。視線を少し上げたら、彼の穏やかな寝顔があった。
昨日は結局、九時を回ってから夕食をとった。さすがにデパ地下の総菜だけあっておいしく、ワインも飲みやすかった。そのあと一緒にシャワーを浴びてベッドに入ったわけだが、蓮斗がすぐに寝かせてくれるわけもなく……。おそらく寝たのは日付が変わってからだろう。
(今何時かな)
しっかり眠れた気がするので、もう昼に近い時刻かもしれない。目だけ動かして掛け時計か置き時計を探したが、見える範囲にはなかった。ベッドから降りてスマホで見るしかない。
蓮斗を起こさないよう慎重に体を半回転させた瞬間、後ろから蓮斗に抱きしめられた。
「きゃあっ」
突然のことに驚いて思わず悲鳴を上げたら、耳元でクスクスと笑う声がする。
「驚いた?」
「寝てると思ってたから!」
「さっきまで詩穂の寝顔を堪能してた。詩穂が目を覚ましたから、どうするのかなと思って寝たふりしてたんだ。おはようのキスを期待してたのに、まさか俺から逃げようとするなんてね」
「逃げようとなんかしてないよ! 時間を見ようとしただけで」
「ふぅん」


