野性的な光を宿した瞳に見つめられ、詩穂は目を伏せた。さっきよりも強く唇を重ねられ、手からバッグと、アイスの入った袋が落ちる。

 背中と膝裏に蓮斗の手が回されたかと思うと、ふわりと横向きに抱き上げられた。

「きゃ」

 お姫さま抱っこをされたのは初めてで、詩穂は思わず蓮斗の首にしがみついた。

「心配するな。落としたりしない」

 そのままベッドに運ばれ、ゆっくりとシーツの上に寝かされた。蓮斗が覆い被さり、詩穂の顔の横に肘をついた。そうして髪を梳くようにしながら詩穂の頭を撫で、唇に一度キスを落とす。

「詩穂……ずっとこうしたかった」
「須藤くん……」
「名前で呼べよ。俺の名前、知ってるだろ」

 まっすぐに見つめられて、詩穂は照れながら彼を呼ぶ。

「……蓮斗」

 蓮斗が目を細め、襟元に指を入れてネクタイを解いた。

「詩穂の声で名前を呼ばれるのって……いいな」
「なにそれ……」
「ゾクゾクするってことだよ」

 蓮斗は詩穂の耳たぶに唇を寄せて「詩穂」と呼んだ。熱い吐息交じりの声に耳をくすぐられ、詩穂の背中に淡い刺激が走る。

「れ、蓮斗の声の方がゾクゾクする……」