「よろしくお願いします!」
「がんばろうな」

 顔を上げたときに笑顔の蓮斗と目が合い、詩穂もつられて笑顔になった。



 本来の事務アシスタントとしての仕事もこなさなければならないため、空いた時間を見つけてはノートにアプリの画面のデザインや仕様をメモしていった。終業時間になると仕事は振られなくなるため、詩穂はデスクにノートを広げて頭を悩ませる。

「詩穂ちゃん、なにか手伝えることある?」

 真梨子に小声で声をかけられ、詩穂はノートから顔を上げた。

「ありがとうございます。でも、大丈夫です」
「あんまり無理しないでね。それじゃ、お先に」

 真梨子はバッグを肩にかけ、ほかの社員に挨拶しながらオフィスを出て行った。詩穂は思いついてスマホを取り出す。アプリストアを覗いて、どんなデザインがあるのか、どんなアプリがあるのか見てみようと思ったのだ。

 ストアには詩穂がスマホに入れているアプリや、テレビでCMされているアプリのほか、多種多様なアプリが文字通り無数にある。デザインもシンプルなキャラクターのイラストから、よくわからない幾何学模様までさまざまだ。