お店をご長男に継がせたいという久里原様のお気持ちはもっともです。
これからは海外の新しい生地も扱っていきたいという淡雪さんに、援助が必要なこともわかります。
ただ、わたしと静寂さんのご縁はこのままではいけないのですか?
必要なのはわたしではなくお金なのですから、静寂さんのところに嫁いで、持参金はそっくりそのまま淡雪さんにお渡ししても、わたしは構いません。
どうかご両親を説得してくださいませ。
久里原さまのお気持ちが変わらないと、父は動いてくれません。
大正九年十二月八日
手鞠
静寂様
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