楓と塾の前で会った後も俺におにぎり作ってきてくれたな、もうその時から嫌だったんだ
なのに怒ってしまった、腹立って智加の誘惑にも負けた
一瞬でも楓の胸と比べたのは事実だし、その後も楓のことは考えなかった、智加の積極的な行動に流された俺が確かに悪い
「私は塾の子がどんな子か知らないけどさ、優真がその子がいいなら楓と別れてあげてよ、楓がかわいそうだし、楓にはいい人すぐ見つかるよ」
「楓にいい人?航とか?」
「何で航くんが出てくるの?」
「いや、ちょっと思っただけ」
「確かに航くんなら楓を泣かさないかもね、お風呂入ってくるね」
泉は部屋を出ていった
楓の言った通りだ、俺の頭の中には楓はいなかった
優しい楓のことだから俺のすることはいいよって言ってくれるものと思っていた、実際塾の前で会った時何も言わずに去ったけど普通ならその場でケンカしてるはずだよな
神社でも俺がちゃんと何時から塾だけどって一言メールしとけば……
勉強が理解できるようになって成績も上がり塾の仲間で勉強してることも楽しかったし、智加とも嫌ではなかった、智加の本心は?ただ遊びたいだけなんじゃないのか?都合のいい男友達にされてないか?
「優真、お風呂あいたよ、何うつ伏せになってんの?」
「いや」
「私はね、別に優真と楓が別れてもいいからね、私と楓が親友なのは変わらないし、優真と兄妹なのも変わらないから」
そう言って二段ベッドを上がっていく
優真はお風呂に入り楓のことを思い出していた
初めて会った時、俺の腕の中に落ちてきたんだよな
楓の表情が次々と浮かんでくる
上目遣いの顔、優しい笑顔、キスの後の恥ずかしそうな顔、怪我して心配してくれた顔、怒った顔
優真は自分の両手を前に出して楓のお姫様だっこを思いだすと同時に水面に自分の手を何度も何度も叩きつけた
「くそっ……くそっ……俺は何をしてるんだ……」
楓に他の男なんていらない、絶対嫌だ!
楓……ごめん……
優真はお風呂から上がり父親の部屋に行く
「父さん、話がある」
「なんだ?こづかいか?」
「俺、やっぱり海洋に行きたい」
「せっかく塾も頑張って合格ラインに入ってきたのにか?」
「うん、色々考えたんだけど海洋も県立だし、就職コースもあるし、海洋に行っても勉強も頑張るから」
「何で海洋がいいんだ?」
「彼女と同じ高校に行きたい」
「彼女?」
父親の声が変わった



