「はぁ……」


全部、私のせいなんだな。
知ってた。
彩葉は相手が好きだから。
もし私の好きな人が別の人を好きになったら、彩葉と同じようなことをしてしまうのだろうか。
愛故に、他を傷つけてまで、手に入れたいと望むのだろうか。



きっと、私には人を好きになる資格なんてないんだろうな。



「………疲れたな」




「来栖さん、大丈夫?」

蹲っていたところを心配してくれたのだろうか、神代くんが覗き込むように私を見つめていた。

「うん、……大丈夫」



神代くんの髪はまだ少し湿っていて、長い前髪の間から覗く綺麗な瞳に吸い込まれるような感覚があった。