「いってきます」

誰にも届かない別れの挨拶。
帰ってくるのかもわからない娘を平気で放っておく両親。
もう慣れた。





「おはよう、来栖さん」
「…おはよう、神代くん」

外へ出れば、きっと待ってくれていたのだろう。スマホを片手に立っている神代 律くん。
金色の髪が特徴的で首元にはドッグタグネックレス。制服は着崩している。
その反面、私は染めてもいないブロンドの髪。着崩していないそのままの制服。
何一つ共通点もない彼と私は付き合っている、らしい。

「ごめん、待った?」
「全然。…………また暗いね」
何かあった?と私の顔を覗き込む。
「…何も」