「んじゃ、まだ未成年なんだから不埒なことはやめましょうね」
「由里じゃないんだからそんなことしない」
「…ま、それならいいわ。じゃあな」
「鞄も、ありがとうございました」
「いいよ、今度倍で返してもらうから」
冗談だけど、と付け足して帰路に着く宮野くん。
結局あれから学校の授業のノートを写させてもらったら時間が経ってしまった。
「……お腹空いたね、夕飯食べよっか」
「準備は私がやるから、座ってていいよ」
「…お言葉に甘えようかな」
今回は大人しく待っていてくれるらしい。
神代くんには今日で何度も救われた気がする。何故、こんなにも人を救う言葉を言えるのか。
_______________それらは、彼が望んだ言葉なのかもしれない。
そういう考えが頭に浮かんだ。
気づけば雨はやんでいる。窓から覗く空にはポツポツと光が灯っていた。

