「ただいま!」

玄関を開けると、彼(犬)はしっぽを激しく振り私の帰りを喜んだくれる。

「今日はひとりでなにしてたの?」

彼(犬)にこんな質問しても、返事が返って来ることは無いって知っていても、自分の帰りを待っていてくれたと思うと嬉しくなる。

「じゃ、散歩行こうか?」

荷物を置くと、彼に首輪とリードを付けて散歩に出かけた。
1時間ほど散歩して返って来ると、何故か玄関前に車が停まっている。

だれ…?

不信に思う私と反対に、彼(犬)はしっぽを振り急いで家に帰ろうとする。

「ちょ、ちょっとワンちゃん待って!
そんなにリード引っ張らないでよ! 危ない!」

私達の騒ぎが聞こえたのか、玄関のドアが開き中から、生田さんが出て来た。
あまりの彼(犬)のリードを引っ張る強さに負けて、私はリードを離してしまった。

あっ!

私から離れた彼(犬)は生田さんに駆け寄り飛びつこうとした。
しかし、生田さんの “ ステイ! ” と言う言葉に、彼はピタッと止まったのだ。

なんで…
なんでそんなに、生田さんの言う事聞くの?
勿論、私に懐いて無いわけじゃ無いけど…
やっぱりおかしい。
初めてドックフードをあげた時も…
生田さんの言葉に反応した。

「良かった。無事で……」

生田さんがなにか心配したくれてる様だが、私の耳には入って来なかった。

「おい! 大丈夫か?」

「えっ? 何が?…っなんで生田が居るんですか?」

今夜は生田さんは夜勤で、明日の朝まで帰らない筈なのに…
何故ここにいるの?

「突然連絡付かなくなったから、心配したんだろ!」

はぁ?