芽郁達は、古い民家に辿り着きました。
「さぁ、中に入れ!」
と、ニカーとして男の人に言われたので、断ることも出来ない芽郁は、
「お、お邪魔します…。」
と言い、ドアを開けようとしましたが、開きませんでした。
「あ、鍵無くした。取ってくる」
と言い、巨大な木に登りました。しかし、半分登ったところで降りて来ました。
「これ、やるよ。」
そう言って男の人は自分の着てた着物を芽郁に渡しました。その着物はとても大きく、重いです。
芽郁はお礼を言おうとしたら、また男の人は木に登り始めました。芽郁はさっき貰った着物を羽織り、じっと待ってました。
 何分かしたら、男の人が戻って来ました。手に持っているのは枝です。
──え、枝?鍵は?
芽郁が不思議そうに見ていると男の人は
「見てろ!」
と、枝で器用に鍵穴をいじり、ドアを開けました。
「す、凄い…」
芽郁は感嘆な声を漏らしました。
 中は、芽郁が死ぬ前に住んでいた家と全く違い、ソファもテレビもありません。障子、ふすま、囲炉裏、などがありました。芽郁はおばあちゃんの家を思い出しました。が、おばあちゃんの家は流石にここまで古くはありません。
 「お前、顔洗って来い。土で汚れてる。」
「は、はい。」
「水が出るとこはあっちだ。」
芽郁は男の人が指を指す方向へ進んで行きました。
 水は、凍えるように冷たく、さらに体が冷やされました。
「うぅ、寒い…。」
思わず呟いてしまいます。
 芽郁はつるつるした壁を見つめ、自分の顔に驚きました。
 芽郁の髪の毛が濃いピンク色になっていたので
す。
 死ぬ前は、お母さんにみつ編みにしてもらっていた毛先が傷んで毛先だけ茶色になっていた黒い髪の毛でした。髪の毛を染めていたクラスの子達もこんな色には染めていませんでした。芽郁は更生したと言うことをはっきり体に覚えさせられました。