「どーしたの?」


知らないフリして聞いてみる。


分かってるよ


その荷物の量。


あなたの家においてあった私の私物でしょう?


私はあの家にはもう行けないということが分かって勝手に涙が出そうになる。


実際には出ないけど。


もう、会いに行く口実もなくなるんだなぁ、


「これ、お前のだろ?
俺が処分するのはおかしいから持ってきた」


「あ、忘れてた
ありがとう」


忘れてた


なんて嘘、よく出てくるよなぁ


もう用は済んだ。


でも少しでも姿を見ておきたくて自分からは家に入らない。


…入れない。


別々の道に進んでくならこのまま時が止まればいい。


って頭悪いことを本気で願ったりしてる。