先程本棚から見つけた一冊の本を開く。 かの有名な著者、芥川龍之介の蜘蛛の糸を手に取り開く。 窓際の席で無心に本を読む。 誰にも邪魔されない、邪魔はさせない。 私だけの空間。 15ページくらい読んだあたりに、授業を終わらせるチャイムが校内に鳴り響く。 読んでいた本をパタンと閉じ、元あった場所に本を戻そうと本棚に手を伸ばした瞬間に、 ーガラッ 図書室の重たい扉が開いた音がした。