「やっぱ、似てる」
「何がですか?」
今度はさつきさんがぽつりぽつり
話し始めた
「私の弟と華ちゃんが…似てるなーって」
弟の事を思い出したのか寂しそうに
笑うさつきさん
「私のお母さんもこの病院に入院してる
って前に言ったでしょ?」
私は頷いた
「本当はね、私と弟でお母さんが
違うんだ…今入院してるお母さんは
お父さんが再婚した人なの…それで
産まれたのが弟…」
再婚…
「私が小学4年生の時だったかな
その頃しょっちゅう夫婦喧嘩してた…
お父さんが浮気してるって…」
「結婚記念日の日。お父さん忘れてて
お母さんはずっと寝ないでお父さんが
帰ってくるのを待ってた」
「でも…お父さんは帰ってこなかったの…
耐えきれなくなった私はお父さんに
怒ったんだ」
私は黙ってさつきさんの言葉に
耳を傾けていた
「私が怒ってもお父さんは何も
変わらなかった」
「喧嘩ばっかしてたのをお母さんは
凄い反省しててね…お父さんの誕生日
ケーキを買うの忘れたって私に言って
買いに行った…それがお母さんを見るの
が最後だとは考えもしなかった」
居眠り運転をしていた軽トラックに
引かれてしまったらしい
「すぐ病院に行ったの…その時
辛うじてお母さんの息の根はあった…」
「私はお母さんの手を握ってたくさん
お母さんっ!って呼んだの…
そしたら、お母さんは少し笑って」
『さつき、ごめんね。』
「って言った…その後すぐ息を引き取った
お母さんが事故にあったって言うのに
お父さんは病院に来なかった…
お葬式もお通夜も…お墓参りだって
一緒に行ったことないのよ…」
さつきさんは胸にかけているネームカード
の中から1枚の紙を出した
シワシワでよれよれの紙
「これね…お母さんの遺品整理をした時
見つけたの…私宛の手紙だった」
私はそれを読んだ
『さつきへ
さつきがこの手紙を読んでるって事は
私が死んだって事だよね。
さつきは何歳かな
結婚してるかな…子供がいるかな
さつき、たくさん辛い思いさせちゃって
ごめんね。
ひとりぼっちにしてごめんね。
でも、お母さんはさつきの事大好き。
もちろんお父さんもさつきの事
大好きなんだよ。言わないだけでね
お父さん恥ずかしがり屋でしょ?笑
最後に、さつき私の子供に産まれて
来てくれてありがとう。
さつきのお母さんで幸せでした。
お母さんより』
「私これ読んだ時凄く悔しかった。
お母さんがなんで謝るの?って…
悪いのはぜんぶお父さんなのに…って」
「お母さんが死んじゃってから
お父さんは家に帰ってこなくなったの…
お金だけ置いてどっか行っちゃう」
あぁ…。似てるな…
「いきなり帰ってきたって思ったら
そこには知らない女の人が立ってた…
お父さんの腕にくっついて」
「それから間もなくして弟が産まれた
私と血が繋がってないって知られない
ように頑張ってたのに…
弟は全部知っちゃったみたいで…
お父さんに怒鳴って出て行ったきり
家に帰ってこなくなっちゃった…」
それで、私と弟さんが似てるって
思ったのかな…
「今は私もあの家には帰ってないから
弟とも会ってないの…元気してるかな」
さつきさんはそう言うと窓の外を悲しげに
眺めた
「そう、だったん…ですね…」
私はそんな言葉しか出てこなかった
さつきさんの目があまりにも悲しげな
目だったから
「あ、ごめんね。こんな話しちゃって
それよりさ、華ちゃんの事なんだ
けどさ…」
「なんですか?」
私の事…?
何言われるんだろう
「実は、華ちゃんの体の痣が余りにも
酷すぎるから、病院内で噂になっちゃ
ってるのよ…華ちゃんが虐待受けてる
んじゃないかって」
「え…」
それがあいつらの耳に入ったら…
「ねぇ華ちゃん警察に…「行かないです」
警察に行ったら…
学校の人に…あいつらに…
それに…
お母さんにだって…
何されるか…
「何がですか?」
今度はさつきさんがぽつりぽつり
話し始めた
「私の弟と華ちゃんが…似てるなーって」
弟の事を思い出したのか寂しそうに
笑うさつきさん
「私のお母さんもこの病院に入院してる
って前に言ったでしょ?」
私は頷いた
「本当はね、私と弟でお母さんが
違うんだ…今入院してるお母さんは
お父さんが再婚した人なの…それで
産まれたのが弟…」
再婚…
「私が小学4年生の時だったかな
その頃しょっちゅう夫婦喧嘩してた…
お父さんが浮気してるって…」
「結婚記念日の日。お父さん忘れてて
お母さんはずっと寝ないでお父さんが
帰ってくるのを待ってた」
「でも…お父さんは帰ってこなかったの…
耐えきれなくなった私はお父さんに
怒ったんだ」
私は黙ってさつきさんの言葉に
耳を傾けていた
「私が怒ってもお父さんは何も
変わらなかった」
「喧嘩ばっかしてたのをお母さんは
凄い反省しててね…お父さんの誕生日
ケーキを買うの忘れたって私に言って
買いに行った…それがお母さんを見るの
が最後だとは考えもしなかった」
居眠り運転をしていた軽トラックに
引かれてしまったらしい
「すぐ病院に行ったの…その時
辛うじてお母さんの息の根はあった…」
「私はお母さんの手を握ってたくさん
お母さんっ!って呼んだの…
そしたら、お母さんは少し笑って」
『さつき、ごめんね。』
「って言った…その後すぐ息を引き取った
お母さんが事故にあったって言うのに
お父さんは病院に来なかった…
お葬式もお通夜も…お墓参りだって
一緒に行ったことないのよ…」
さつきさんは胸にかけているネームカード
の中から1枚の紙を出した
シワシワでよれよれの紙
「これね…お母さんの遺品整理をした時
見つけたの…私宛の手紙だった」
私はそれを読んだ
『さつきへ
さつきがこの手紙を読んでるって事は
私が死んだって事だよね。
さつきは何歳かな
結婚してるかな…子供がいるかな
さつき、たくさん辛い思いさせちゃって
ごめんね。
ひとりぼっちにしてごめんね。
でも、お母さんはさつきの事大好き。
もちろんお父さんもさつきの事
大好きなんだよ。言わないだけでね
お父さん恥ずかしがり屋でしょ?笑
最後に、さつき私の子供に産まれて
来てくれてありがとう。
さつきのお母さんで幸せでした。
お母さんより』
「私これ読んだ時凄く悔しかった。
お母さんがなんで謝るの?って…
悪いのはぜんぶお父さんなのに…って」
「お母さんが死んじゃってから
お父さんは家に帰ってこなくなったの…
お金だけ置いてどっか行っちゃう」
あぁ…。似てるな…
「いきなり帰ってきたって思ったら
そこには知らない女の人が立ってた…
お父さんの腕にくっついて」
「それから間もなくして弟が産まれた
私と血が繋がってないって知られない
ように頑張ってたのに…
弟は全部知っちゃったみたいで…
お父さんに怒鳴って出て行ったきり
家に帰ってこなくなっちゃった…」
それで、私と弟さんが似てるって
思ったのかな…
「今は私もあの家には帰ってないから
弟とも会ってないの…元気してるかな」
さつきさんはそう言うと窓の外を悲しげに
眺めた
「そう、だったん…ですね…」
私はそんな言葉しか出てこなかった
さつきさんの目があまりにも悲しげな
目だったから
「あ、ごめんね。こんな話しちゃって
それよりさ、華ちゃんの事なんだ
けどさ…」
「なんですか?」
私の事…?
何言われるんだろう
「実は、華ちゃんの体の痣が余りにも
酷すぎるから、病院内で噂になっちゃ
ってるのよ…華ちゃんが虐待受けてる
んじゃないかって」
「え…」
それがあいつらの耳に入ったら…
「ねぇ華ちゃん警察に…「行かないです」
警察に行ったら…
学校の人に…あいつらに…
それに…
お母さんにだって…
何されるか…

