少し待っていると予定よりも早く
1台のタクシーが私の前で止まった

私はそのタクシーに乗り込んで

「北病院まで」

行き先を告げた

運転手は「わかりました」と一言言って
車を発進させた

車から伝わる少しの振動でも体は
悲鳴をあげる

「っ…」

歯を食いしばってその痛みに耐えた

しばらくすると

「着きました」

タクシーは病院の目の前で止まった

「ありがとうございます」

お金を払い車から降りる

受付を済ませて近くのソファーで
ゆっくりしていると

「あ… 」

ふと病院内を見渡すと見覚えのある
やつを見つけた

「お前…」

そいつも私に気づいたみたいで
こっちに向かって歩いてきた

私の目の前で立ち止まり

「…何してんだよ」

と一言そう言った

「別に。検査」

「検査か…ってなんの検査だよ!」

うるさいな…

「白髪には関係ない」

ここは病院なんだから静かにして
もらわないとこっちが困る

白髪はすぐ告げ口をするという事が
さっき分かったから

病院に来た理由は絶対言わない

「俺ら一応仲間だろ?それになんだよ
白髪って!俺の名前は夏斗だからな」

「うるさい…あんたが私の事仲間だと
思ってても私は思ってないから」

なに仲間って…

めんどくさい…

「あーはいはい。そーですか」

白髪は表情を変えず淡々としか話さない
私に嫌気が刺したのか

「じゃあな」

とだけ言ってどっかに行ってしまった

「瀬奈 華さん。こちらへどうぞ」

タイミング良く私の名前が呼ばれて
診察室に通された

「どうされましたか?」

診察室には優しそうなおじいさんと
若い女の人がいた

「え〜っと…ちょっと急いでいて階段
から落ちてしまって…それから体が凄い
痛むんですよ…」

「階段から落ちた…?」

「ははは…まぁ。」

同じ事を何度も言わせるな

って言わないようにとりあえず愛想笑い

「どこら辺が1番痛みますか?」

「背中…です」

「じゃあ、とりあえずここにうつ伏せで
寝っ転がって下さい」

言われるままに私はベットに寝転がる

「ここは痛いですか?」

まず先生は腰辺りを押してきた

「痛くないです」

「ではここは?」

次に先生は脇腹あたりを押してきた

体に痛みが走った

「いっ…たいです…」

「そうですか。では最後にここは?」

と言い先生はダイレクトに背中を
押してきた

「っーーーーー!」

私は声にならない叫び声を出した

痛すぎで思わず先生を睨んだ

「っ…すいませんね」

謝って先生はどっかに消えていった

「瀬奈さん大丈夫ですか?」

その場にいた若い看護師が
話しかけてきた

「あ、はい。大丈夫です…」

「なら良かったです。これから
レントゲンを撮りますので少々お待ち
下さいね」

レントゲンって…

やっぱ折れてたり…

「背骨…折れてますか?」

私はうつ伏せの状態のまま看護師さん
に聞いた

「ええ。先生のあの反応じゃ多分…」

まじすか…

折れてたら入院じゃん…

学校行けなくなるじゃん…

学校のくそ連中に逃げたって思われる

最悪…