「着いたよ」

「ここって…」

私は目の前に聳え立つ建物を見上げた

「そー。ここは俺達の倉庫でーす」

と得意げに言う赤髪



「…私、帰る」

「えっ、ちょっ、待ってよー」

帰ろうとする私の腕を赤髪が掴んだ


「なに。離して」


バイクなんか乗るんじゃなかった

なんで倉庫なんか…


思い出したくもない思い出が
頭の中をグルグル回る

『俺の後ろに乗っていいのは華だけ
だかんな!』

『ホント?嬉しいな』



『皆華の事待ってんぞー!』

『ごめん!すぐ行くー!』


じわっと目の前が滲む


「華ちゃん?」


「…なんでもない。」

慌てて目を擦る


「とりあえずさ入ってみてよ
嫌だって思ったら帰って良いから」

そう言いながら赤髪は私の背中を
どんどん押していく


「はっ、ちょっと待って」

抵抗する暇もなく倉庫の中へと
入ってしまった