『aine』

そのお店は昼間は喫茶店
夜はBARをやっている

━カランカランッ

ドアに着いている鈴を鳴らして
店に入ると

「いらっしゃい。って華か!
久しぶりだなー。元気だったか?」

お皿を洗いながら声をかけてきたのは

私のちょっとした知り合いである
“春馬(はるま)”さんだ

「うん。元気」

「おう!てか、こんな時間にどうした?
まだ学校……何かいるか?」

流石春馬さん

なんで私がここに来たのかわかってる

「メロンソーダちょうだい」

そう頼んでカウンター席に座った

しばらくしてメロンソーダが入った
グラスが私の前に出された

「…なんかあったのか?」

遠慮気味に春馬さんが聞いてきた

「春馬さんはさ…自分の過去を
わかってくれる人っていると思う?
それをわかった上で自分の事を好きで
いてくれる人っていると思う?」

少しの沈黙の後に春馬さんが口を開いた

「自分の過去の事は別に話さなくても
いいと思う。でも、華の過去を
知っても華の事を好きでいてくれる
人は絶対いると思うぞ俺は」

やっぱり…

春馬さんもあの人と同じ事言うんだね