正直びっくりした

ついさっきまで俺たちの事を見るだけで
カタカタと震えていたあいつが

初めて俺たちに刃向かった


あいつと出会ったのは中三の時だ


あいつの事を連れてきたのは総長であった
“紳助(しんすけ)”さんだ

その時のあいつは紳助さん以外と
決して口を聞かなかった

総長にだけ懐いているあいつを俺は
野良猫だと思ってたっけな

でも、だんだん慣れてきたのか
他のメンバーとも話すようになった

本当のあいつは

良く笑って、良く喋って

良く泣いて、よく怒って

そこら辺の中学生と大して変わらなかった

ただ、一つだけ違うところがあった


あいつには

1人じゃ抱えきれないほど辛く、深い

過去を持っていた


その話を聞いた時、俺は酷く同情した

そして同時に、

『守りたい』

そう強く思った