心臓がとくとくと早い鼓動を刻みだす
――ほんの少し、期待してもいいのかな?
「……空いて、ます、けど?」
なるべく平静を装いながら、言ってみた
いつも以上に瞬きが多いのは気にしないでください!
先輩はそっかって、ホッとしたように顔を緩ませた
微笑む彼の隣に並ぶと、再びゆっくり歩きだす
チラっとお互い見て、すぐまた逸らして
何度となく繰り返して、繰り返されて
恥ずかしさも最高潮になった頃、やっと先輩が話しかけてきた
「……よかったらその、一緒に出掛けないか?
その、いろいろ話したいこともあるし…」
相合傘の中、さっきより距離が近づいて、
先輩の少し高い体温と、爽やかな整髪料の香りをはっきり感じた
高なる鼓動を懸命に静めながら、私はこっそりお願いする
―――神様!どうか明日は晴れますように!



