「え~どおしたんですか?こんなとこにこんな時間に」

「野暮用」

「あ、デートだ~」

「あほ。……友達の見舞いだ」

「ああ、なるほど」

「えっ?お前こそなんで?」

「私は地元です」

「あ、そうだったんだ。あれ?」

「何ですか?」

「今帰り?何、夜遊び?」

――はあ?

「違いますよ!バイトです」

「こんな遅くまで!?」

「そうですけど?!」

夜遊びなんてとんだ誤解だ!
という思いが顔に出ていたのだろう
先輩はとても気まずそうにしてる

「いやあ、うちのサークルの女子ってみんなクラブとか行ってるのかと思ってた」

……確かにそういう人は多いけどね

「私は行ったこと無いですよ。学校かバイトかレッスンで一日終わります」

「そっか、何かわりぃ……」

――あぁ!そんな素直に謝っちゃうとこ、変わんないですね

「家が学費と生活費以外自分持ちってだけで。レッスン費もバカになんないし、夜遊びなんて余裕無いですよ」

苦笑いを浮かべて内情をぶちまけた

「そっか。チャーは真面目ないい子なんだな」

――“いい子”ねえ…
やっぱり私は後輩?よくて妹どまりですよね、分かってたけどね!

思わずため息が出た

「はぁ~そーですよ。てか先輩にそんな遊び人と思われてたなんて、悲しいです」

「悪かったって。…でもやっぱ女の子なんだし、こんな時間に一人で夜道は危険だよ」

いつものことです、と笑ってお暇しようとしたら

「送ってくよ」

傘をさしながらかけられた言葉に心臓がトクンとなった