マザーグースの言う通り

なんということだろう。塚田が来た。今更なにをしに来たのだろうか。もしかして別れを告に来たのだろうか?怖くて震えが止まらない。

「…な、何しに来たの、?
どうせ私は浮気者よ。
言うなら早くしてよ、もう心の準備は出来てるか「好きだよ澤田。」

塚田に遮られた言葉に理解が追いつかない。

「私の照れ隠しが澤田に迷惑かけていたこと、遅いかもしれないけどさっきの言葉は全て撤回するから。
許さなくてもいいし、いくらでも罵ってくれてもいいわ。
でも、どうか、別れるだなんて言わないで…」

言葉が出てこない。別れないで、だなんてそれはこっちのセリフよ。

「いつも可愛い澤田が大好き。デートのときおしゃれしてくれる澤田も大好き。澤田の笑う顔、声、全部好きだよ。」

「……そ、そんなの、今更言われたって信じられるわけないでしょ!?」

そうだ。信じられない。今まで頑なに甘い言葉を口にしない塚田が今、このタイミングで言うなんて何かの嘘に違いない。でも本当は塚田のことがまだ好きだし嘘なんかじゃないって信じていたい自分がいる。

「確かに信じられないでしょうね。さっき澤田のことをとても傷つけてしまったから…。
でも、これだけは聞いて?私は昔も今も未来も、ずっと、ずっと澤田だけが好きだよ。」

これが嘘だとしても待ち望んでいた言葉たちが次々と自分に送られる。思わずまた目から熱いものが溢れる。もう、信じてしまってもいいだろうか…。

「私の方がもっと好きよ…。
今更ふざけないでよ…。
だったら…今まで以上に私のこと幸せにしてくれる…?世界で一番幸せにしてくれる…?」

塚田の真顔が崩れて、今までに見たこともない優しい顔になる。そう、私こんな塚田の顔がいつか見れたらいいって思ってた。

「半分なら叶えてあげられそう。
もう半分の場合世界で一番幸せになのはきっと私に決まってるから。」

また私のことを泣かせる気なのか。耐えられずに、私は塚田の胸に抱きつく。

「約束ね。
一生かけて一緒に幸せにならないと許さないから。」

塚田は当然よ、と消え入りそうな声で私の耳元でそっと囁いた。その言葉が聞けてどんなに幸せかあなたはわかった気でいるだろうけど、きっとあなたの想像を遥かに超えるくらいには幸せよ。


今になって言えるけれど、やはりどの女の子も砂糖とスパイスと素敵な何かでできているものなのである。