マザーグースの言う通り

塚田が何を言っているかを理解するのに数十秒かかった。
気づいたら私の足元には水たまりができていて、それが自分の目から出ているのに止めることができなかった。歪む視界。目の前の塚田が息を飲むのが分かった。何よそれ。今まで頑張っていたのに、塚田は私の努力をしらないくせに、そのくせに勝手に変な勘違いして。その瞬間、私は塚田に背を向けて全力で走った。もちろん塚田が追いかけてくることはない。チャイムが鳴るのが遠く聞こえる。ああ、もう午後の授業か。そんなことを頭の片隅で感じながら屋上へ続く階段を駆け上がった。屋上の階段まできてはっとした。ここは私が塚田に告白した場所だ。塚田にどんなことを言われても結局嫌いになることなんて私にはできないのか…。ドアをそっと開け屋上に足を踏み入れる。ほどなくしてふと空を見上げると、真っ青なはずの青が滲んで見えた。